パニック障害
- 2021年6月8日
- クリニックブログ
こんにちは。今日も神戸オイレクリニックのブログをご覧いただきありがとうございます。夏のような暑さの神戸です。でも、まだ梅雨明けではなさそうですね。水分補給をしっかりして熱中症などに気をつけたいところです。毎日、クーラーを使用していると体も冷えやすくなるため、着圧靴下を履いたり、なるべく常温の飲み物を飲むようにしています。それにしても今日は暑いです。早く梅雨が明けて心もカラッとしたいです。皆さまも体調にはお気をつけくださいね。
さて、今日のテーマは、パニック障害です。一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
パニック障害は、突然、理由もなく動悸やめまい、発汗、窒息感、吐き気、手足の震えといった発作(パニック発作)を起こしそのために生活に支障が出ている状態をパニック障害といいます。
このパニック発作は、死んでしまうのではないかと思うほど強くて、自分ではコントロールできません。火事や地震など、突発的な生命の危機に直面した時、多くの人はパニック発作と同じ身体反応が起こります。鼓動が早くなり、血の気がひいて冷静に物事が考えられなくなって、大声で叫びだしたいような気分に襲われます。胃の中のものを吐いてしまうこともあります。じっとしていられなくなり、やみくもに走りだすこともあります。こうした反応はいずれも、敵や災害から逃げるために有利なもので、身体に備わった生き延びるためのプログラムです。ところが人によって、なんでも無い時にパニック発作のような反応がおきることがあります。命の危険がないのに、まるで命を脅かされているような不安や恐怖を感じ、身体にもパニック発作と同様の症状が起きます。
何もきっかけがない時にこうした症状が起きると、だいたいは、心臓や胃や肺などの病気を考えます。実際、パニック発作は心筋梗塞などの症状によく似ています。そのためはじめは、循環器科や呼吸器科や消化器科を受診します。死にそうに思える症状に直面するため、多くは救急車で病院に運ばれます。もちろん、こうした症状を訴える人の多くは本当に心臓や胃や肺などに異常がある人です。ですが、ここでどんなに検査しても内科的異常がまったく見つからない人は少なくありません。そういった場合はパニック障害かもしれません。
他にどこも悪くないのに、生命の危機に直面したような発作が何度も起きれば、この発作で死んでしまうかもしれないと心配になりますが、パニック障害での発作で死ぬことはありません。
パニック障害は基本的にパニック発作を何度も繰り返します。はじめは何かと心配していた家族や友人や職場の人たちも、どこにも異常がないとわかるとだんだん「またか」「気のせいなのに大騒ぎする」といったような顔をするようになります。本人は本当はとても痛くて苦しくて不安なのに、誰からも理解されず苦しんでおられる患者さまは実際たくさんいらっしゃいます。理解されないことは本当につらいです。
パニック障害は決して珍しい病気ではありません。一生の間にパニック障害になる人は1000人に6~9人と言われています。
パニック障害は、パニック発作から始まります。はじめはパニック発作だけですが、発作を繰り返すうちに、発作のない時にまた発作が起きるのではないかと予期不安、あの場所に行ったら発作がおきるのではと広場恐怖といった症状が現れるようになります。また、うつ症状をともなうこともあります。
・パニック発作
予期されないパニック発作を繰り返される「予期しないパニック発作」は、パニック障害の特徴的な症状です。予期しない発作とは、状況など関係なく起きる発作のことをいいます。なので、寝ている時に発作が起きることもあります。
・予期不安
「また発作が起きるのではないか」という不安」をいつも感じていますがパニック発作を繰り返すうちに、発作のない時次の発作を恐れるようになります。「また起きるのではないか」「次はもっと激しい発作ではないか」「今度こそ死んでしまうのでは」「次に発作が起きたら気がおかしくなってしまう」といった不安が消えなくなります。これが、予期不安で、パニック症状に多く見られる症状です。このほかにも、いつ発作がおこるかという不安のあまり、仕事を辞めるなどの行動の変化が起きるようになるのもパニック障害のひとつです。
・広場恐怖
そこにいくと発作が起きそうな気がする。発作が起きた時、そこから逃れられないのではないか、助けが得られないのではないか、恥をかくのではないかと思える苦手な場所が出てきて、その場所を避けるようになります。これを広場恐怖といいます。広場といって広場だけではなく、電車にのる、美容室にいく、など人によって恐怖を感じる場所はちがいます。広場恐怖以外にも外出恐怖や空間恐怖というのもあります。広場恐怖が強くなると仕事や日常生活ができなくなり、また引きこもりがちになるので友達との人間関係にも影響がでてきます。一人で外出できなくなるので、人の頼っている自分を情けなく思う気持ちも強まってきます。
パニック障害の治療は心療内科、精神科でおもに行います。
◎薬による治療
薬物による治療の目的は、パニック発作を起こさせないという事が第一の目標になります。その次に予期不安や広場恐怖も出来るだけ軽減させることを目標にします。
◎精神療法アプローチ
パニック障害では、薬物治療に加えて精神療法の併用が重要になります。特に認知行動療法や曝露療法は、薬と同じくらいパニック障害に治療効果があると認められています。
パニック障害はこのような治療を通して自分のペースで治療に取り組むことが大切になってきます。周囲の理解も大切になります。
急に心臓がバクバクしてめまいなどの症状がでて、検査をしても異常がない場合はパニック発作かもしれません。
早めに当院のような心療内科への受診をオススメします。
外に出れなくなってしまうケースもあります。一人で悩まずに一度ご相談ください。
お待ちしております。