支えているあなたへ
- 2021年5月25日
- クリニックブログ
こんにちは。本日も神戸オイレクリニックでのブログをご覧いただきありがとうございます。診療がある日は毎日更新していくことを目標にしています。改めて自分の文章を読みかえすと、語彙力のなさ、誤字脱字ありの恥ずかしいブログになっていますが、読みました!と患者さまから言われると単純にすごく嬉しい私です。ありがとうございます。励みになります。私の伝えたいことクリニックとしての想いが少しでも伝わることを願ってこれからも続けていきます。よろしくお願いします。
本日のテーマは、支えているあなたへです。精神疾患や様々な病気を抱えている方はよく注目されますが、その方たちを支える側にはあまり注目されず、当事者が一番つらいと思われて当然なのですが、支える側も孤独や辛い思いを抱えておられる方も沢山います。支える側の方のことをもっと知って欲しくて今回かいてみます。
そこで、また韓国のネタになるのですが、皆さまに是非、見てみて欲しいドラマがあります。
「サイコだけど大丈夫?」というとてもインパクトのある題名なのですが、現実世界にもあり得る話だなと思う部分が沢山あるドラマです。
私は、最初はサイコパス的要素がある怖いドラマかと思っていましたが、全く違い、人間の深い部分を描く話でした。
このドラマは愛を知らない人気童話作家の女性と、精神科病棟で保護士で働く男性が出会います。男性は自閉スペクトラム症の兄の世話をしながら一緒に暮らしています。兄弟には愛する母親を通り魔に殺された暗い過去があり、そのことで他人との親密な関係を築けなくなっています。そして、亡き母に「兄の面倒を見るために産んだ」と言われ、深く傷ついたまま生きています。そこで、愛を知らない童話作家と出会い辛い思いをして生きる二人はお互いの心に癒しをもたらし、お互いの心の傷を治癒していくというストーリーです。ありきたりな恋愛ドラマではなく、家族愛や人はみな弱いので支えあい他の人を思いやることの大切さを教えてくれるドラマです。
私は最後になるにつれて私の知らない世界、世の中にはこんな生活をして孤独を抱えて生きている人も現実にもいるだろうなと感じました。そして、三人の描写をみるとそれぞれの心の中が見えて涙なしでは見れなかったし、こういう家族のかたちで生きている人もいるかもしれないということを知って欲しいなと思うドラマでもありました。是非、見てみてください。
自閉スペクトラム症(自閉症スペクトラムともいいます)というのは、言葉の使い方が苦手で、まったく言葉を使おうとせず、他者とのコミュニケーションをとったり関係をもったりすることが苦手とされています。自分の関心や興味を最優先させたいという本能的志向が強いことを特徴とする発達障害の一種とされています。
ドラマの中では、自閉スペクトラム症が本当にうまく表現されていてわかりやすいのですが、それと同時に一緒に生活をしている方の苦悩がわかるようになっています。私の知人の自閉スペクトラム症の方は、学校や仕事など社会的には困難なことはたくさんありますが、一言で言ったら本当に心が優しく、正直で嘘をつけない。真面目である。と思っています。
ですが、一緒に生活を共にされている方は、きっと毎日どんな時も当事者のことが常に頭にあり、世話をしています。もちろん自分の事は後回しです。とても心が敏感な障害でもあるため、なにか心に小さなストレスがかかると一気に顔色が変わったり、ひどく落ち込んだり、暴れたりもします。家族の方々は本当に心も体もお疲れではないかと思います。ドラマでは兄弟で暮らしているため、世話をする弟は大学もあきらめ、人を好きになることもあきらめるといったことが描かれていますが、何とも切ないシーンです。そして孤独を自ら選んでしまうシーンがあります。そして、今までもどんなに孤独だったかがよくわかってきます。
私の友人にも同じような環境の子がいますが、「私は障害をもつ姉を世話するために産まれてきた。結婚相手は親がいなくなったら自分が世話しなくてはいけない。姉も含めて私を好きになってくれる人じゃないとダメなんだ。」と将来の結婚相手の理想を話をしていた時に言われたことを思い出します。その時、色々ふざけた理想を並べていた自分を反省しました。友人は一番のりに結婚し、今も幸せに暮らしています。
自閉スペクトラム症だけでなく、色々な精神的疾患や病気を持つ人を支える側にフォーカスが当てられないと思います。現在ではヤングケアラーという言葉があるように、若い世代にも小学生の頃から親や家族の介護をし、進学、就職をあきらめ、学校に登校も出来くなったり、友達とも遊ぶ時間も全てを介護にあてている人達が沢山います。学校帰りに友達と寄り道したくてもできません。大人になってもデートしたくてもそんな時間はありません。常に孤独と闘い目の前の事を一生懸命こなしていきます。そして、親が亡くなってようやく自分の時間が出来ても、思春期を介護だけで過ごしてきた人は、他人との関わり方もわからない。自分が何がしたいかできるのかわからない。友達もいない。これからどうやって生きていけばよいかわからないとおっしゃる方もいらっしいます。介護をしている時は必死だったから、まわりもみんな他人事で助けてくれる大人がいなくてつらかった。と言われます。きっと毎日止めることのできない介護の生活の中でまだ子どもであるのに自分しかいない環境におかれ、せざる負えません。相談する場所もわからないし、家庭の事情を知られたくないと隠すため外部との関わりをなくしてしまう人もいます。自分は何のために生きているかわからない。と追い詰められてしまい、うつ病のような症状がでたり、体の不調がでても自分を後回しにしておられます。
今は介護をする方などに向けた行政による相談窓口もあります。
そして、もし介護をされていたり、精神的な病気をもつご家族を支えていらっしゃる方。
頑張りすぎておられませんか?心が疲れていませんか?毎日気が張っていませんか?
支えている側も人間です。自分を後回しにしすぎず、疲れすぎてもうだめだ。と限界がくるようなら、お住まいの地域には必ず介護に関する相談窓口もあります。そして、当院のような心療内科などにもご相談いただけます。
一人で孤独をかかえたまま頑張り過ぎないでください。
支える側の方は想像以上に孤独で大きなストレスがかかっていると思います。誰かに少し話をして聞いてもらうだけで心が軽くなることもあります。
当院は患者さまはもちろんですが、支えておられる方のケアもおこなっております。いつでも気軽にご相談ください。