誰にでも起こること
- 2021年10月9日
- クリニックブログ
こんにちは。神戸オイレクリニックです。本日もブログご覧いただきありがとうございます。今日は気持ちの良い朝でした。あの蒸しっとした体感がなくなっただけで全然違いますね。最近、ブログを読んでくださってる方が増えてきて、感想などいただくととても嬉しく励みになります。ありがとうございます。文才もなく誤字脱字もあると思いますが、今後ともよろしくお願いいたします。
さて、本日は誰にでも起こること。をテーマに書きたいと思います。私は、この仕事を携わる前はまったく別の仕事をしていました。この仕事を目指しはじめたいと思ったのは、この日本という国が、まだ色々な偏見がたくさんあって、他の国よりずっと遅れている精神科治療を目の当たりにしたからです。昔の精神科のイメージがまだ根強く残っているのは事実です。きっと全く知らない世界のことだと思って生きている人もたくさんいると思います。自分は強いから無縁だと思っている人がたくさんいるでしょう。
こんな人だからうつ病になりやすいなんて言う方もいますが、どんな人とかではなく誰にでも起こりえるという認識が広まればよいなと常日頃思っています。
ですが、きっと精神科の入院施設の中の様子は知らない人がほとんどだと思います。確かに昔の精神科病棟のイメージってすごくひどいものもあると思います。鉄格子の部屋に一人と閉じ込められたり。暴れる人を拘束したり。確かにまだ古い体制の病院施設はたくさんありますが、最近は、新しいことを取り入れ実践する病院もたくさんあります。患者さんに自主性を持たせたり、認知行動療法に重点を置いたり。様々な取り組みをしている病院はたくさんあります。きっと昔のイメージのままだから、精神科の病気に対しても偏見がたくさんあるのではないかといつも思います。
以前、すすめられて観に行った、閉鎖病棟という映画。ネタバレするので詳しい内容はここにはあまり書けませんが、まさにリアルな精神科病棟の話です。その映画は勉強のためにも観に行ったのですが、その時に私の前の席に座っていた若い男性の何人か連れが見に来ていました。多分、その映画に出演している女優さんを観に来ていたのではないかと思うのですが、精神科病棟の中の患者さんにフォーカスをあてているような内容なので、様々な疾患の患者が出てきていました。症状によっては継続的に一定の動作が繰り返されている場面などがあり、そこでまさかの一人の男性が上映中に声を出して笑いだしたのです。最初は気のせいかと思っていたら、そのようなシーンでまた笑いながら、キッモ!と発したのです。私は後ろの席にいて、しっかり聞こえてきて、嫌な気持ちと同時に怒りがこみあげてきました。そしてとてもとても悲しくなったことを今でも忘れません。でもそれが現実にある声だと思いました。
実際、自分がそうなってしまったら偏見を持っていると自分自身のいまの状態を理解できず、治療が遅れることもあります。もちろん、診察するときに話もろくに聞かず薬をただ出し続けられて一向によくならないと訴え当院に来られる患者さまもいます。大量の内服薬を知らずしらすのうちに増やされて、信じて飲み続けている患者さまもたくさんいます。本来の自分がわからなくなっている方もたくさんいます。当院は出来るだけお話を聞かせていただき、できるだけ内服に頼らない治療を目指しています。ですが、心療内科、精神科に偏見の気持ちを持っているとそれだけで、信頼関係が成り立たなくなったり、治療も円滑に進んでいきません。
ちょっとずつでも、日本にある精神科病院の体制が変わっていき、誰にでも起こりうる病気の一つであるという理解が広まっていくことを願っています。